Research Center for Social Psychology


ニュース

2018年01月26日 07:25

第4回KG-RCSP合同ゼミ

2016年から半期に1度,3回にわたり開催してきた小川・三浦合同ゼミを,今回からKG-RCSP合同ゼミとして規模を拡大して開催することになりました.異なる学部の複数のゼミが集い,メンバーの研究発表と外部ゲストの講演を交えた,「多様性と類似性の相乗効果」(Miura & Hida, 2004)の場となることを狙っています.聴講参加はどなたでも歓迎します.

日時:2018年3月8日(木)13時~18時(予定)

場所:関西学院大学西宮上ケ原キャンパスF号館104教室

第1部 13:00-15:00 ゼミメンバーによる研究発表

志水裕美(社会学部社会心理学専攻分野・清水ゼミ・次年度大学院前期課程進学予定)

「社会的経済地位と怒り表出のメカニズム」

本研究は怒り表出のメカニズムを明らかにすることを目的とした。特に社会的経済地位に注目し、心理的特権意識の媒介効果を調べた。従属変数に4つの怒り表出方法(感情的攻撃、嫌味、表情・口調、いつもどおり)を設定した。電車などで怒りを表出する公的条件と友人や家族に対して怒りを表出する私的条件に分けて分析を行った。結果、両条件において社会的経済地位が高いと心理特権が媒介して感情的攻撃と嫌味表出をする傾向があることが明らかになった。さらに公的条件において心理特権と怒りの程度に負の相関があったことから、心理特権が怒り表出の正当性評価を高めている可能性が考えられる。

北川茉里奈(社会学部社会心理学専攻分野・稲増ゼミ・次年度大学院前期課程進学予定)

「メディアの中の他者の意見 -なぜ報道番組においてコメンテーター・エグゼンプラーが重宝されるのか-

人々はメディアから直接態度に働きかけを受けるわけではなく、対人的影響に因る部分が大きいとされてきた。それでは、メディアに出演しながら自身の意見を述べるコメンテーターや、報道番組に挿入される街の声(エグゼンプラー)はどのように捉えられているのか。Web調査の結果、芸能人コメンテーターは身近な他者と同様に捉えられており、また政治知識の少ない人は芸能人・専門家を問わずコメンテーターに対して好意的であった。さらに実験を行ったところ、人々が生活の中で情報を得られない間接経験争点において、コメンテーターやエグゼンプラーが意見形成に影響を及ぼすという可能性は示唆されたが、結果は統計的に有意ではなかった。メディアの影響か他者の影響かということが安易に二分できないこの時代において、両者の効果を再検討する必要があるといえる。

清水千景(文学部総合心理科学科・小川ゼミ・次年度大学院前期課程進学予定)

「色および情動による時間知覚への影響」

本研究では、時間知覚に対する色の効果が情動によって変化するかを明らかにすることを目的とした。実験1では、男性のみが赤色刺激の呈示時間を青色刺激よりも長く評価することを示した先行研究(Shibasaki & Masataka, 2014)の再検討を行った。その結果、先行研究とは逆に、青色刺激に対して赤色刺激よりも呈示時間を長く判断することが示された。この研究間の矛盾が刺激に対する情動反応によるものではないかと考え、音楽による情動操作を行い時間知覚に対する色の影響を検討する実験2を実施した。その結果、時間判断への色及び情動の影響は認められなかったが、特定の呈示時間でのみポジティブ曲条件では赤色刺激、ネガティブ曲条件では青色刺激に対する反応時間に影響が認められた。この結果は、色および情動が時間判断に関わる何らかの処理に影響を与える可能性を示唆している。

Intermission 30分

鳥山理恵さん(東京大学大学院医学系研究科)

「心理の学生さんたちをチアアップするお話」

2012年秋、文化心理屋さんを目指していたはずの「私」が思いがけずT大医学部精神科での思春期児童のメンタルヘルス大規模調査に関わることになった経験を元に、「医師にあらずんば人にあらず」を地で行くお医者さんたちに囲まれる日々の葛藤の中、他分野の研究者の人たちとの共同作業を通じて気づいた「実験心理屋さんの強み」についてお話できればと思います。
また、現在第3期調査まで進行中のコホート調査の概要についてもご紹介させて頂きます。3000人の思春期のお子さん達に2年おきに調査に参加してもらう上での苦労や裏話など、気軽なノリのトークにできればと思います。
(このトークは一部フィクションであり実在する人物・団体等とは関係ないかも知れません)。

第2部 15:20~17:20+α

高橋康介さん(中京大学心理学部) 40分

「顔・パレイドリア・文化」

ヒトにとって顔は見慣れた刺激である。大部分のヒトは顔を認識するという行為においてエキスパートである。極めて微細な顔情報の変化を読み取り、顔の背後にある個の有り様を認識する。一方、パレイドリア現象では明らかに顔ではないモノやパターンが、どれだけ頭では否定しようとしても、否応なしに顔に見えてしまう。ただそう見えるだけでなく、その背後に個など存在しないにも関わらず、見えてしまった顔が、個と対峙する者として我々を規定し、行動に影響する。パレイドリア現象とは何なのか。いくつかの実験研究、文化比較研究の紹介を通して、「過剰に意味を創り出す認知」という観点から顔とパレイドリアについて考察(及び妄想)したい。

島田将喜さん(帝京科学大学アニマルサイエンス学科) 40分

「遊び・規則性・規則」

餌付けされた嵐山のニホンザル(Macaca fuscata)のコドモの「枝引きずり遊び」は、「1つの物だけをターゲットにし、物を持つ方が逃げ手の役割になる」という相互行為の規則性を繰り返し含む(Shimada 2006; 島田印刷中)。発表者はこの規則性は、コドモたちが以下の少なくとも2つのアプリオリではありえない「規則に従う」ことの結果である、と主張する:①遊んでいるまさにその時間・空間においては他でもなく今伴われている物体だけをターゲットとする、②物体の所有者が逃げ手の役割を担う。これらの規則はその性質から、ヒュームのコンヴェンションの概念に相当すると考えられる。嵐山のように餌付けによる「ゆとり」のある生息環境は、コドモたちが社会的遊びの相互行為の中で、コンヴェンションを生成することを可能にする。

高橋・島田ご両人たちのコラボレーション

島田将喜・高橋康介・大石高典・錢琨

「フィールドワーカーから見た心理学実験と実験心理学者から見たフィールドワーク」

我々は、文化人類学と実験心理学のコラボレーションにより、さまざまな地域・文化における顔や身体表現の通文化性と文化依存性を観察、調査、実験を通して探求することを目指している。この中で、方法論や学問的背景がもたらす異分野間のコラボレーションの副産物や問題点が徐々に見えてきた。例えば実験心理学者がフィールドに入ったときの振る舞いを文化人類学者の視点で観察すること、「調査」「実験」がどこまで外部と切り離されたものと捉えるかという認識の違い、などである。本発表では、フィールドワーカーと実験心理学者が同行して調査地(タンザニア)で行った研究の実体験、実験そのものの成果や失敗を踏まえ、今後のコラボレーションへの提言を行う。

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2017年12月18日 10:56

第1回 犬山認知行動研究会議(ICBM-1)での研究報告


2018年1月6日~7日に開催される標記の会議(本センター共催)で,センターメンバーが研究報告をしました.

第1回 犬山認知行動研究会議
(The 1st Inuyama Cognition & Behavior Meeting, ICBM-1)

主催:犬山認知行動研究会議実行委員会
共催:科学研究費補助金 基盤研究(S)「野生の認知科学」・関西学院大学社会心理学研究センター
日時:2018年1月6日 13時開始 1月7日 17時頃終了
場所:京都大学霊長類研究所
参加費無料、予約不要

小川洋和 某私立大学における心理学ゼミ運営の一事例報告
清水裕士・稲増一憲 社会調査データへの統計モデリングアプローチ
三浦麻子 Psychology of psychological research

平石界(客員研究員)ほか3名 男の誤解という誤解(かも):Men's overperception effectの追試から
村山綾
(客員研究員) 内在的公正推論の規定因

会議の詳細はこちらをご覧下さい.

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2017年12月07日 12:40

第18回KG-RCSPセミナー

第18回KG-RCSPセミナーを,下記の通り開催しました.

【日時】2018年1月19日(金)15:10~18:20
【場所】関西学院大学西宮上ケ原キャンパス 図書館ホール(関西学院大学図書館B1F) キャンパスマップ
【発表者】竹澤正哲 氏(北海道大学大学院文学研究科・北海道大学社会科学実験研究センター)
タイトル】協力の進化:行動科学者は、この学際的な研究に何を貢献しうるのか

【概要】協力の進化と呼ばれる研究は、自然科学と社会科学、数理モデルと実証研究が互いに影響を与えながら発展してきた。21世紀に入ると、群淘汰、遺伝子と文化の共進化といった、生物学に出自を持つ概念を使って人間の協力を説明しようとする動きが加速する。だがこの動きは、偏狭な利他主義を巡る論争に代表されるように、研究者の間に様々な誤解や混乱をもたらしている。

本発表ではまず、協力の進化を巡る近年の理論研究を整理した上で、「人間は偏狭な利他主義者であるはずだ」とか「人間は集団間での争いに勝ち抜くために協力的な性向を獲得したのだ」といった類の主張が、理論モデルから必然的に導かれるわけではないことを指摘する。続いて、協力の進化における理論研究から、心理学者が汲み取るべき最も重要なメッセージとは、人口動態や集団構造の重要性であることを指摘する。そして、心理学者が行うような行動実験が、この研究テーマに対してどのように貢献しうるのか、具体例を通して議論する。

【抱負】質疑応答込みで3時間のトークという稀有な機会を頂いた。そこで、「協力の進化」という大きな問いを巡る理論研究の現状を、専門家でない心理学者にも理解してもらえるように紹介した上で、心理学者がこの学際的な研究領域に対してどのように貢献していくことができるのか、聴衆とともに議論したい。

※参加無料
※学内外を問わず,事前申込は不要ですが,資料準備等の都合上,学外の方は清水裕士(simizu706(at)gmail.com)宛にご一報をいただけると助かります.

【報告】まず、ヒトの心や行動はどのように進化してきたのか。この問題について心理学だけでなく生物学や生態学、認知科学で展開されている研究について紹介していただきました。
続いて、ヒトの協力傾向を進化の観点から説明する理論についていくつか紹介されたのち、マルチレベル淘汰理論について詳しく解説されました。そして、そのマルチレベル淘汰理論が主張する偏狭さや戦争のための協力、という傾向が理論的な必然性を持つわけではなく、むしろ人口動態や集団構造のあり方こそが重要な要因となりうることを指摘されました。
最後に、協力傾向についての強化学習モデルについての最新の研究について紹介されました。ヒトの協力は互恵的利他主義の予想とは異なり、むしろ他者の行動に対する学習によって説明されるのではないか、という主張がなされました。
質疑応答では、戦争を前提とした協力の説明の是非、進化理論と強化学習理論との関係などについてディスカッションが行われました。(清水裕士・記)

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2017年10月31日 17:41

第17回KG-RCSPセミナー

第17回KG-RCSPセミナーを,下記のとおり開催しました.有賀先生,どうもありがとうございました.

【日時】2017年11月8日(水)13:30~15:00

【場所】関西学院大学西宮上ケ原キャンパスF号館103教室

【発表者】有賀敦紀 氏(広島大学大学院総合科学研究科)

【タイトル】人と物のパーソナルスペース

【概要】人間には他者にこれ以上近づかれると何となく落ち着かない距離がある(パーソナルスペース:PS)。このPSは個人の身体を取り巻く目で見ることのできない空間領域であり,その特性に関して様々な社会心理学的研究が行われてきた。本発表では人と物のPSに関する研究をそれぞれ紹介し,PSの事前予測と実際の行動のずれについて議論したい。

学部生・文学部総合心理科学科以外の方,学外者等,どなたでもご参加を歓迎します.

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2017年10月05日 18:17

Osaka.Stan #6

Osaka.Stan #6

『StanとRでベイズ統計モデリング』読書会

※本読書会は終了しました.坂本先生,小森先生,LTをして下さった方々,どうもありがとうございました.

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この本の読書会を行います。第6回目です。今回でついに最終回です!奮ってご参加ください!

また、場所は今回も関西学院大学のメインキャンパスである西宮上ケ原キャンパスとなります。ご注意ください。梅田キャンパスではないのでご注意ください。

#6

日時: 11月18日(土) 13:00~17:00
場所:関西学院大学西宮上ケ原キャンパス 社会学部棟
アクセス:https://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_000374.html
阪急今津北線甲東園/仁川駅から徒歩,JR西宮駅からバス

◆今回は11章と12章の発表をしてもらいます。10章は時間があれば清水がやります。
11章担当:@MrUnadon (専修大学 坂本次郎さん)
12章担当:@masashikomori (大阪電気通信大学 小森政嗣さん)
LT募集中です!一人5分。ドラの用意はありません。
懇親会は実施しません。

事前参加申込が必要です.こちら(ATND)からお願いします.

※当日発表資料については,ATNDのページに集約しますので.そちらでご確認下さい.

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