Research Center for Social Psychology


論文公刊

2016年03月28日 11:48

センターメンバーによる以下の論文が掲載された「社会心理学研究」が公刊されました.

稲増一憲・三浦麻子 (2016). 「自由」なメディアの陥穽:有権者の選好に基づくもうひとつの選択的接触. 社会心理学研究, 31(3), 172-183.

有権者に多くの選択肢を与えるインターネットの普及は、党派性に基づく選択的接触研究への注目を高めたが、実際には党派性に基づきメディアを選択する者は少ない。一方、選択肢の増加に伴う偶発的・副産物的ニュース接触の減少により、娯楽・ニュース志向という有権者の選好が直接接触に反映され、政治・国際ニュースについての知識の差が拡大する選択的接触については、党派性を持つ有権者が少なくとも起こる。本研究は、この選択的接触に注目し、インターネット上のサービスが選好に基づく知識の差を拡大するのか縮小するのかについて検証した。オンライン調査による検証の結果、選好に基づく知識の差の縮小に貢献すると考えられるのは「ポータルサイト」「新聞社サイト」「2ちゃんねるまとめサイト」、差を拡大すると考えられるのは「ニュースアプリ」「Twitter」であった。考察において、今後予想されるメディアの変化に対する本研究からの示唆が議論された。
 
キーワード:インターネット、選択的接触、メディア環境、娯楽志向、政治知識

 

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